リサイクルされたプラスチック製品の行き先を、わたしたちは知らない
日本のプラスチックのリサイクル率は、84%と言われていますが、実は世界基準からみるとそうは言えないようです。
わたしの住んでいる地域では、ペットボトルは資源としてゴミの収集の時回収されますが、残念ながらプラスチック容器は燃えるごみとしてリサイクルされることなく燃やされてしまいます。
しかし、よく見かける食品用の発泡ポリスチレン容器は(厚みのある、一般的に白い色をした容器です)、スーパーマーケットで回収してもらえるのでうれしい限りです。
リサイクルに出す。
一安心ですね。
しかし、我々がリサイクルに出したプラスチック容器が、その後どのようにリサイクルされて行くか、知っている人は少ないと思います。
わたしもその一人です。
さて、リサイクルにはどのようなものがあるのでしょうか。
想像してみましょう。
「・・・・」
思い浮かばない人も多いのではないでしょうか。
わたしが思いうかべたものは、衣類です。
昔、インドネシアのバリ島で集めたペットボトルを使って、それを繊維にして、フリースを作ったという話を聞きました。
当時、なかなかいいなと思ったものですが、今検索してみても、わたしの検索力ではヒットしません。
実際に、バリ島でそんな試みがなされたのか、どうだったのかわかりませんが、アウトドアメーカーのパタゴニアでは、1993年からペットボトルからリサイクル・ポリエステルを製造しています。
業界初だったそうで、素晴らしいですね。
わたしたちは製品を買うだけで、あまり企業のことはよく知りませんが、このような環境に対する努力をしている企業は応援したくなるものです。
さて、実際のところ、わたしたちがリサイクルに出したプラスチックは、どうなっているのでしょうか。
日本の政府及び企業は、リサイクルには、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つがあると定義しています。
マテリアルリサイクルとは、モノからモノへと生まれ変わることです。
ペットボトルからペットボトルを作ったり、先ほどのパタゴニアのフリースが、ペットボトルからのリサイクルであることが、これにあたります。
わかりやすく、わたしを始め、多くの人が思い浮かべるリサイクル方法です。
次にケミカルリサイクル。
化学的な処理をして、原料に戻してからリサイクルすることです。
油にもどしたり、ガスにして化学原料にしたり、鉄をつくるときに利用する方法、 燃料油、化学製品にしたりします。
www.pwmi.jp
そして最後に サーマルリサイクル(Thermal Recycle、熱回収)。
これは、リユース、マテリアル・ケミカルリサイクルが困難(技術的に困難、あるいは投入資源・コストに対し割に合わない)となった場合に行われ、焼却し、そのときに発生する熱を回収して利用することです。
日本ではこのリサイクル方法が非常に割合が高く、プラスチック製品のリサイクルの70%以上です。
そして実は、このサーマルリサイクルは和製英語で、欧米ではサーマルリカバリー (Thermal Recovery) といい、リサイクル方法とはされていません。
つまり、日本で84%リサイクルされていると言われていても、国外から見れば、そのほとんどが、リサイクルとはみなされていないのです。
分別、そしてリサイクルされていると思っていたプラスチックの一部は、その網目から漏れ、ゴミとなり海にたどり着き、深刻な海洋汚染を招いています。
そして大部分は、燃やされています。
〈分別されているように見えて、放置されているペットボトル。風に吹き飛ばされて、海に流れ着きます〉
もちろん分別やリサイクルは大切です。
しかし一番いいのは、これ以上、プラスチック製品を作り出さないことだとわたしは思います。
とてもシンプルです。
小さなことでも、一人一人ができることがあります。
考えてみましょう。
忙しい毎日ですが、想像力を持って生活してみませんか。